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Sakamoto Kurozu Inc

 

 

Rice Vinager Factory

三方を丘に囲まれた鹿児島県霧島市福山町は、年間を通して温暖な気候と、薩摩藩時代「廻(めぐ)りの水」と呼ばれた姶良カルデラ壁中腹に蓄えられた豊富な水に恵まれた地域です。
ここ福山で江戸時代後期、壺を使い太陽の力と微生物の力を借りる世界でも類を見ない独特の米酢造りが始まりました。この気候風土に根ざした「坂元の黒酢」も、“壺畑”と呼ばれる場所で伝統製法のもと醸造技師の手で造られています。
今回、200年続く伝統製法による黒酢の販売を国内だけでなく、アメリカを筆頭に国外にも積極的に展開されている坂元醸造株式会社の皆様に、FSSC 22000認証取得に取り組まれたきっかけと経緯についてお話を伺いました。

 

 

(GFSI)はじめに御社の食品安全に関する取り組みについて、伺えますでしょうか?

(坂元醸造様 以下坂元醸造)
弊社は江戸時代後期に鹿児島県霧島市福山町で壺を使って黒酢造りを始め、以来その伝統製法に則り長年黒酢造りを行っています。この大切にしてきた伝統製法を後世に残しながらものづくりの技術を明文化することの重要性を考え、ISO 9001認証を取得した後、JUSE‐HACCP認証を取得しました。そして、周囲の方々のお話を伺い、フードディフェンスの重要性を感じFSSC 22000認証取得を決意し取得しました。

(GFSI)フードディフェンスの重要性を感じられたきっかけは何でしょうか?

(坂元醸造)12年前にISO 9001認証取得後、アメリカやヨーロッパなどへの輸出を考えHACCP構築にも取り組んできましたが、他の企業との情報交換を重ねる中で海外の企業と取引する上でフードディフェンスに対する姿勢が重要であることを実感しました。

(GFSI)現在はどちらの国に輸出されているのでしょうか?Rice Vinager

(坂元醸造)アメリカ、台湾、香港、シンガポール、フランス、UAE、中国、韓国などで、主にアメリカへの輸出が多いです。 対米輸出はアメリカの日系人の方を通じて始まったのですが、今は人種を問わず消費者が広がっていると感じています。弊社は13大学、20研究室と微生物の発酵と黒酢の機能性について研究していますので、アカデミックな根拠を伴い黒酢の魅力について発信することで自社製品の信頼性につながり、さらに市場が広まればと思っています。

(GFSI)米国食品安全強化法(FSMA)にはどう対応されていますか?

(坂元醸造) 米国食品安全強化法(FSMA)が要求している「ヒト向け食品に対する予防コントロール」に基づいた対応についても、弊社食品安全チームには10名のうち1名をPCQIとし準備をすすめているところです。FDAに製造所として登録はされていますが、FDAの監査はまだ受けていません。

(GFSI)ではFSSC 22000認証についてですが、取得まではどのくらいかかりましたか?

(坂元醸造) JUSE‐HACCPの認証を既に取得していたこともあり、FSSC 22000取得には1年ほどの準備期間で済みました。認証を取得した福山工場はFSSC 22000を意識した構造設備を持つ新工場でもあったので比較的早く取得できたものと思います。

(GFSI)認証取得に向け取り組む中で苦労された点と、認証を取得してよかったと感じられる点についてお聞かせください。

(坂元醸造) 取り組みにおいては、品質面ではISO 9001の考えを活用し、そこにHACCPの7原則12手順とPRPを定着させてFSSC 22000へというステップで進めましたが、新工場である福山工場では黒酢単体だけでなくドレッシングやドリンクなど旧工場に比べ様々な商品を造ることになり、それらのフローダイヤグラム作成やハザード分析に時間を要しました。
よかった点としては、共通言語ができてコミュニケーションがよくなった点と、改善意識が高まると共に自信につながり、そこから作業の効率化に対するみんなの目が肥えたということがあります。
これは10数年前、作業マニュアルなども無い中様々な議論を重ね2・3年かけてISOに初めて取り組んだ時にも感じたことで、このような経験があるからこそ自信を持てるのだと思います。

(GFSI)今のお話はGFSIの「食品安全文化」で取り上げている「従業員のモラル作り」というテーマにつながる内容ですが、坂元醸造様ではどのように取り組まれていますか?

(坂元醸造)やはりISO 9001認証取得が、大きな転機だったと思います。それまで何をやっているのか理解しないままに作業していましたが、ハードルが1つあがることによって、その内容を理解し、考えるようになったと思います。従業員一人ひとりが作業の目的や意義を理解するようになりました。弊社は55名の従業員全員がISO 9001の内部監査員資格を持っており、そういったことも従業員の意識付けと改善意識につながっていると思います。

(GFSI)では最後に、今後の課題についてお聞かせください。

(坂元醸造) 従来から5Sパトロールをずっと実施してきていたことが、外部審査でも非常にきれいな工場だと評価されていますので今後もこの活動を継続し、併せて従業員のハザード分析能力を高めたいと思っています。そして、PDCAサイクルをまわし続けることで継続的改善を図り生産効率の向上につなげると共に、発酵工程といった伝統的な工程の科学的根拠の解明・明確化にも取り組みたいと考えています。特に、食品衛生法改正に伴いHACCP義務化は不可避ですからしっかりと取り組むことを課題として念頭に置いています。

 

伝統製法の国際標準化という食文化の歴史が長い日本特有の大きな課題に取り組む坂元醸造様の姿勢は、他の伝統食品に携わる企業の皆様の背中を押してくれるお話であったように思います。「伝統製法を後世に残す」ため、受け継いだものづくりの技術を明文化し、1つ1つハードルをクリアしみなさんの意識を高めておられる点に、坂元醸造様の高い食品安全文化への意識を感じました。皆様、お忙しい中ありがとうございました。

【坂元醸造株式会社ホームページ】  http://www.kurozu.co.jp/
(本社)
〒890-0052 鹿児島県鹿児島市上之園町21番地15 TEL:099-258-1777
(工場 ※FSSC 22000認証取得)
〒899-4501 鹿児島県霧島市福山町福山4907-2 TEL:0995-64-7001


本ブログはこちらの方にご執筆、ご寄稿いただきました:

Makiko Horiguchi

堀口 麻起子氏
ロイド レジスター
ビジネスアシュアランス 北アジアマーケティングマネジャー